ふと、真夜中に目を覚ます。
それはもう常になりつつあることだった。
時計の秒針の音だけと、水道から時折落ちる水音だけが嫌に耳を煩わせる。
隣に目を向けると、キミが眠っている。
呼吸を忘れたかの様に、音もなく。
微かな音の方が存在を主張している。
おざなりにかけられている毛布の上に投げ出されている手に触れる。
―――冷たい。
キミには温度がない。目を閉ざしているキミの生を確認するのが毎夜の決められた仕事のようにボクは目を覚ます。
ボクの温度が伝わり、キミの掌に温度を感じられるようになってから再びボクは眠りにつくのだ。
次に目を覚ました時には、きっと君はいない。
ボクはきっと悲しみや寂しさやたぶん負の感情を持ち合わせてキミがいたはずのその場所に手を這わすのだ。
冷たい、ひんやりとしたシーツに。
キミの掌に似たその温度が愛しいと思いながら、温まっていくのを感じながらまた目を閉ざす。


隣に眠る冷たい温度

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